Be Goingでは、この時期以降に、大手進学塾から転塾してくる6年受験生を毎年数名お預かりしています。思うように成績が伸びない、このままで志望校に合格できるか不安、など転塾の理由は様々です。
そこで、これまで多くのこうした転塾生を指導してきた経験から、転塾におけるその効果とリスクなどについてお話ししたいと思います。
A.『転塾』の効果
≪小規模塾から大手塾へ転塾した場合≫
・競争意識の高まり
まわりの多くの受験生が頑張っている様子を目にすることで、「自分も頑張らなければ」、という意識が強くなる。競争意識の強い子には良い効果が出る。
・志望校対策講座、対策テキスト等、志望校に向けてのメニュー、情報が豊富。
≪大手塾から小規模塾≫
・指導時間・指導密度の実質的な増加
クラス人数が少なくなる分、生徒一人に担当講師が関わる時間は多くなる。授業への積極的な参加(質問で手を上げるなど)が苦手な生徒や理解を深めるのに時間がかかる生徒には効果が上がる。
・生徒一人一人にしっかり指導が行き届く
決められたカリキュラムの画一的な対応ではなく、生徒一人一人に合わせた対応がしやすくなり、弱点補強や≪その生徒が合格するため≫の志望校対策などきめ細かな指導で成果につなげる。大手塾の大クラスの授業の中で埋もれてると感じている生徒には効果的。
B.『転塾』によるリスク
・塾、指導者との相性
見極めるのは難しいが、体験入学などの活用で判断していく。
・学習ペースの変化
転塾先の塾の学習ペースへの順応に時間がかかる場合がある。時間がかかればかかるほど、転塾効果は薄れるばかりか、転塾自体が逆効果になる危険性もある。
・人間関係
友人関係や現在の塾の先生との関係を断ち切ることによるモチベーションの低下の懸念。
C.『転塾』検討のサイン
1)5年後半から6年にかけての成績が下降傾向。
まずは、成績下降の原因を突き止めていきましょう。(学習内容の理解不足、モチベーションの低下、など)その上で、対応策を塾の先生と相談しましょう。具体的かつ効果的な対応策が示されないようであれば、転塾検討サインです。
2)1年前と比べ、成績に大きな変化がない。
(偏差値5ポイント以上の上昇が見られない)
基本的に1年通って成績が上がらないようであれば、その塾の指導がお子様に合っていない証拠です。もちろん、本人の努力不足といった原因も考えられますが、本人の努力を導くのも塾の仕事です。
3)第一志望校と現在の自分の学力差が大きい。
(偏差値5ポイント以上の開きがある)
難しい選択です。現在通っている塾を信頼し、第一志望校を目指すか、転塾して逆転合格を目指すのか。この時期から5ポイント以上開きのある志望校、難易度の高い学校への合格を目指すにはかなりの覚悟を持って勉強に取り組む必要があります。いずれにしても、現状を変えない限り大きな変化を手にすることはできません。その意味で、『転塾』も一つの選択肢として検討する価値はあります。
4)学習ペースが上がってこない。
この時期になっても学習ペースが上がってこない原因の大部分が「マンネリ」です。思い切って学習環境を変えてみることも良い改善策になります。
『転塾』は難しい決断です。特に受験最終学年の6年生となればなおさらです。上記のような症状があるからといって、すぐに『転塾』、と考える必要はないのかもしれません。ただ、今一度、現在お通いの塾での学習状況と今後の見通しについて検討する必要があると思われます。そして、もし『転塾』の決断を下したら躊躇なく実行に移すことが大切です。(もちろん、転塾先の塾は慎重に選ぶのは当然です)6年生に残された時間は思っているほど多くありません。決断に時間がかかればかかるほど『転塾』の効果は小さくり、逆にリスクが大きくなっていきます。
これまで『転塾』により大きな成果を得た生徒をたくさん知っています。同時に、思うような成果が得られずに終わる受験生も見てきています。大切なのは、どのような決断をし、どのような結果になったとしても、最後はその結果を心から受け入れられるよう、今できることを精一杯努力し続けることです。その先には必ずお子様の成長と大きな未来が待っているはずです。